国産木材の消費率低迷に伴う環境問題。
国産材の現状
現在、日本の国土面積約7割を森林面積が占めており、そのうち、人工林面積は森林面積全体の約4割。更に日本の人工林面積のうち、スギ・ヒノキ林が約7割を占めており、この国産木材利用の低迷による間伐は大きな問題となっています。
昭和41年から平成29年までの蓄積率は2倍以上の推移となっており、平成19年~平成29年の10年間で年平均8,090万m3増加しています。人工林の森林蓄積約30億m3に対し、消費量は年間でおよそ2,000万m3。多くの森林が利用できる段階にあるにも関わらず放置されている状態です。
CO2を削減するには植林問題の解決が不可欠
樹木のCO2の吸収量は樹齢40~50年をピークに減少していき、さらに木材として使用できる樹齢期も50年程度が最適と言われています。日本は戦後の国策によって多くの木々が植えられてきましたが、長い年月が経過した現在、木材として利用することができる樹齢に達しているにもかかわらず十分な活用がされていません。
CO2を効率的に削減するためには、「適齢期が来たら伐採・使用し、また植林を行う」サイクルを実現することが重要になります。
山林の保水力低下による自然災害の現状
日本のどこかで、毎年台風などによる洪水や鉄砲水が発生しており、2019年10月の台風19号では、記録的な大雨により多摩川が増水し、周辺に深刻な浸水被害をもたらしました。近年、これらの災害が増大している理由は、地球温暖化による台風の大型化だけではなく、川の上流にある山林の保水力の低下が大きな原因の一つであると考えられています。
人工林の間伐問題は大きな林業問題となっており、間伐が滞れば、人工林だけでなく、他の木々や植物にも影響を及ぼし、森全体の保水力や成長が低下し、弱体化に繋がります。この間伐問題を解消するためにも木材の消費率を上げていく必要性があります。
国産材を使用する意義
材料製造時において、
木造住宅はRC造の約4倍のCO2抑制効果
木造住宅の材料製造時におけるCO2放出量は、他構造に対して少ないとされています。一般的な木造住宅一戸あたりのCO2放出量(材料製造時)は、鉄骨プレハブ住宅・鉄筋コンクリート住宅に対して、約1/3~1/4の放出量になります。
国産材を使用した木造住宅生産における
二酸化炭素排出量は欧州材に比べて1/5
欧州材で家を建てた場合は、国産材や地域材で家を建てた場合よりも約5倍ものCO2を排出してしまっています。その原因は木材そのものの性質や、建築過程によるものではなく、木材輸送過程(現地での陸上輸送や船による海上輸送)で排出されるCO2の量が多いためです。いくら木造住宅を増やしても、国産材を使用しないことで、製造とは関係ないところでCO2排出料を増やしてしまっているのです。
SDGs達成のために
国産の木材利用の拡大を中心として資源循環型社会の実現に貢献することで、
SDGs課題への解決を目指します。
今回の取り組みは、国連森林フォーラムにおいて森林の活動がSDGs17の目標のうち14目標が達成に寄与するとしめされているように、木造分譲住宅の取り扱いに積極的に関与し森林エコシステムの担い手となることが、地球温暖化防止などへの貢献につながるものです。
日本が掲げた『2050年温室効果ガス実質ゼロへ』の活動
現在、世界ではSDGsを中心に、地球環境を本格的に改善していく取り組みが推進され、日本でも「2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ」を表明しました。
この温室効果ガスとは文字通り地球の気温を挙げる原因とされるガス類を指しますが、そのうち約75%は二酸化炭素(CO2)が占めており、このCO2排出を今後抑え、並行して吸収を多くすることで、合計値を±0に値することが目標です。
この取り組みに対して、木造建築という観点から国産材の持続的・発展的サイクルを確立することで、脱炭素(CO2削減)を目指していきます。